夫婦で遺言書を作る

最近ではご夫婦で遺言書を作成される方が増えていますが、法律に沿った遺言書を作成しないと無効となってしまいます。
ご夫婦であっても遺言書は別々に作成しなければ効力を持ちませんので注意してください。

子供がいない夫婦、夫婦それぞれに財産があるご夫婦、親族と疎遠であるご夫婦、ご夫婦が内縁関係にある場合等に該当されるご夫婦は遺言書を作成することをお勧めします。

ここではお子さまのいない夫婦が遺言を残さなかった場合の問題点について、例を挙げてご説明いたします。

例１：夫が逝去（被相続人）、子供なし、夫の両親がご存命

【法定相続人と遺産配分】

配偶者（妻）：全遺産の三分の二
夫の両親：全遺産の三分の一(両親が一人でも二人でも同じ)

夫が遺言書を遺さなかった場合に想定されるトラブル

夫の両親が認知症を患っている

夫の両親が認知症であった場合、判断能力が不十分とみなされると法律行為を行うことは出来ません。
相続手続きを進めるには、家庭裁判所に成年後見の申し立てをし、相続手続きを代行できる成年後見人を立ててから諸々の相続手続きを行います。

財産が不動産しかない

相続財産が被相続人と相続人が同居していた自宅しかなかった場合、自宅を売却し現金化してから分配することになります。
自宅に住んでいた相続人は引っ越しを余儀なくされ、さらに不動産を売却するには名義変更を行わなければなりませんので、相続人同士が不仲であった場合、相続手続きが長期化する恐れがあります。

例２：夫が逝去（被相続人）、夫の両親は既に他界、夫には兄弟がいる

【法定相続人と遺産配分】

配偶者（妻）：全遺産の三分の二
夫兄弟：全財産の四分の一(兄弟の数に関わらず)

夫が遺言書を遺さなかった場合に想定されるトラブル

夫の兄弟が認知症

先ほどと同様、法定相続人が認知症等であった場合、判断能力が不十分とみなされると法律行為を行うことは出来ません。まず成年後見の申し立てを行います。

財産が不動産しかない

妻と夫の兄弟との関係性によっては、法定相続分を叶えるため自宅を売却して現金化する可能性があります。

遺言書で相続の方法や財産の分割方法を指示し、ご自身の意思を明確にしておくことが遺された遺族のトラブル回避に繋がります。